パク・ユチョン「僕はせいぜい三十だ…俳優として名前を探したい」

今年、映画界の期待を一身に受けている俳優パク・ユチョン。

昨年、映画『海霧』で、複数の映画賞・新人賞を受賞した彼は、「たくさんの先輩の前で賞を受けたことは良いことだけではなかった」とした。「徹底した計画よりも水が流れるよう演じたい」という彼に、大衆の視線が集まっている。

1月末、韓国映画記者協会が選ぶ「今年の映画賞」の新人賞までも受賞し、名実共に「グランドスラム」を達成したパク・ユチョンは、「今でもよくやったとは思わない」とし「『海霧』の撮影を思い出すと、体がこる」とした。

最近読んだという本のタイトルにもそのような心が代弁されている。「僕はせいぜい三十だ(原題)」。「読んでいると平凡な日常の意味を認識することになる。先日、仲の良いスタッフと屋台で酒を飲んでいたら、サイドテーブルで盛んに年齢について話すのを聞いた。改めて『ああ、僕ももう30代なんだな』と思った。ハハ!」

言葉は淡々としているが、誰よりも演技に対する想いが大きい。自分の名前を完全に露出する機会が演技だという考えも持っている。「今年の映画賞」を受賞したとき、彼はこう言った。「ユチョン(東方神起の時の芸名)ではなく、パク・ユチョンという名前を探したいという欲があった。パク・ユチョンという名前を見つけられたのは、たくさんの方々の助けがあったから。これから俳優という言葉が似合うように演じていきたい。」

受賞回数が増えたので演技を始めた時のことを改めて思い出したりする。「2010年ドラマ『成均館スキャンダル』で演技を始めたとき、仲の良いお兄さんが『演技をすると、もっとやりたくなる』と言っていた。その時は分からなかったが今になって、その言葉が正しいと思った。演技する時に瞬間的に感じられる爽快な味がいい。」

演技していない時は、歌手として世界中を往来し、様々なステージに立つパク・ユチョンに事実「休息」は、贅沢に近い。10年間、息苦しい時間の繰り返しだったが、激しかった2014年を過ごして迎えた新年。彼は「ゆったりとした時間を過ごしている」と述べた。「家で映画を見てドラマのあらすじを見ながらご飯を食べるのが日常の全てだ。ハハ。こんな風に余裕のある時はむしろ何かを準備するべきではないかとか、徹底的に計画も立てなければならないと思うが全く手につかない。だから全部放置してしまった。『海霧』がそうであったように、水が流れるように演じたい。」

今の心を刺激するのは「人」である。最近「海霧」のDVDのコメンタリー(解説)収録のためにキム・ユンソク、イ・ヒジュンなどと久しぶりに会って遅くまで焼酎を飲んだ理由も人好きな性格を明らかにした一件である。「こないだスキー場に行ってきた。スキー場の近くにLPで音楽を聞かせてくれる小さな居酒屋がある。そこの社長に会いたくて行った。3年ぶりに訪れた僕に社長は、『いつ来るだろうと思っていたが、来たな、よく来た』と言った。涙がこみ上げてきた。なぜか父が言ってくれる言葉みたいだった。」

パク・ユチョンは照れくさそうに「突然涙が溢れてきて僕も驚いた」と説明し、「最近は相手の手に出来たマメを調べる時期みたいだ」とした。