イ・ミンホ「スターというタイトルから抜け出そうと努力はしないつもりだ」(インタビュー)

スターという冠を被ることができる機会。イ・ミンホにとってはドラマ『花より男子』が、そのような強力な機会になった。そしてスターになった以後、強い「イメージ」が根付いている俳優が「物語」に読み込まれるためのジャンプ台。俳優イ・ミンホが主演を引き受けた新作映画『江南1970』を見ていると、彼がそのジャンプ台をすでに発見したような気がする。

□俳優は商品だと言うこともできるが、それでもこれだけは守らなければならないと思うことは?

作品的な部分では俳優個人の考えがたくさん介入しなければならないと思う。作品がしようとする話を、どのように解いていくかが演出家の仕事だとするならば、それをどのぐらい説得力ある描き方をするかが俳優の役割だ。最終的にキャラクターを自分だけのスタイルで演じられるかどうかが俳優の能力ではないかと思う。広告はまた違ってくる。広告は、イメージを描き出す作業なので、組み込まれた枠組みの中で動くのは構わないと思う。自分自身の価値と自尊心を守らなければならない作品とは少し違う領域だ。

□過去のあなたが、クオン・サンウとチョ・インソンを見てそうだったように、今は逆に多くの男性があなたを見て「かっこいい」と思う。

ハハ。とりあえず僕は客観性を失ってしまった状態なので、純粋に観客の立場で映画を見ることができない。そのためか、映画の中での自分の姿がかっこいいとは特には感じなかった。それでも泥沼でのアクションシーンで後ろを振り返るシーンだけは「これは、少しかっこいいな」と思った。(笑)でもこの映画は、単純にかっこよさを強調した作品ではない。その時代のメッセージが明らかに込められている映画だ。この映画を撮りながら、今この時代に生きていることにありがたみを感じた。当時は、出口を失った青春の窮屈な状況を突破することができる方法があまりなかったが、今の世代はたくさんの方法があると思う。 20代にはそのような心が伝わって欲しい。

□最後の20代だ。29歳に対してどのように感じる?

あぁ…はぁ〜(深いため息)本当に、ため息が出てくる。僕は30代になるのがすごく嫌だ。

□ある俳優は早く年を取りたいと言っていたが。

僕は少年のような心を失うのが嫌だ。20代までは少年のように見せたいと思えば少年のように、男らしく見せたい時は男らしくが可能だ。でも30歳を超えて、何か男として年を取っていくと、言葉に必ず責任を負うような感じがする。今は冗談を言ったりいたずらしても「そんな時もあるさ」と思ってもらえるが、30代でも同じようにしたら「年もいってるのに何なんだ」と思われそうだ。そのような周囲の視線、あるいは年齢に対するプレッシャー、あるがままの僕を表現できなくなりそうで懸念している。